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松宮宏『まぼろしのパン屋』感想

さて。
今夜は、こちらを読んだ。



内容紹介
朝から妻に小言を言われ、満員電車の席とり合戦に力を使い果たす高橋は、どこにでもいるサラリーマン。
しかし会社の開発事業が頓挫して責任者が左遷され、ところてん式に出世。
何が議題かもわからない会議に出席する日々が始まった。
そんなある日、見知らぬ老女にパンをもらったことから人生が動き出し……。
他、神戸の焼肉、姫路おでんなど食べ物をめぐる、ちょっと不思議な物語三篇。
【解説】大森望

内容(「BOOK」データベースより)
朝から妻に小言を言われ、満員電車の席とり合戦に力を使い果たす高橋は、どこにでもいるサラリーマン。
しかし会社の開発事業が頓挫して責任者が左遷され、ところてん式に出世。
何が議題かもわからない会議に出席する日々が始まった。
そんなある日、見知らぬ老女にパンをもらったことから人生が動き出し…。
他、神戸の焼肉、姫路おでんなど食べ物をめぐる、ちょっと不思議な物語三篇。


確かに不思議な物語だった。

3つの短編が納められているが、特に表題作の「まぼろしのパン屋」が、食べ物的にも好きだ。
誰しも一度はあるのではないだろうか、「パン屋さんになる」ことに。
私など、未だにふっと「今からでもパン屋になれないだろうか」と思ってしまう瞬間がある。
憧れの職業の一つだ。

ビジネス小説のような、ユーモア小説のような、加えてファンタジー要素は確実にあって。
心温まる物語の味わいに、内海隆一郎を思い出した。
テイストは異なるかもしれないが、巻末の解説にあった言葉を借りれば「人情噺」という点では共通する。

「不思議な物語」と書いたが、「不思議」の意味はひととおりでない。
一つにはファンタジー的という普通の意味だが、もう一つには、ちょっと信じられないような展開が続いても、「いやいやそううまくはいかないだろう」とはなぜか思わない。
不思議な説得力がある。

3編は、それぞれ別の世界、別種のキャラクターたちが描かれ、いずれも実話か体験談かと思えるリアリティーに富んでいる。
この創作力はどこから来ているのだろう。
これまで知らなかったが、面白い作家さんだ。

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