fc2ブログ

映画「LION ライオン~ 25年目のただいま~」個人的感想

とても観たかった映画ライオン」を観た。



しかし、正直、期待はずれだった。

実話に基づくとはいえ、せっかくフィクションとして映画化したのだから、もっと想像力を膨らませていろいろなエピソードを重ねて面白く描くことができたのではないかと思う。

延々と苦悩するシーンばかりを、役者の表情だけでずっと見せられても、正直、まだるっこしいと感じてしまった。

延々と苦悩し続けたわりにラストはあっけなく、「25年目のただいま」という副題以上の膨らみは感じられなかった。

ふと、以前に見た映画ルーム」を想起した。



この映画は、やはり実話に基づいているが、見たかったもの、知りたかったことをすべて描いてくれている作品だった。

拉致監禁されていた時の生活はどのようになされていたのか、なぜ逃げられなかったのか、そしてなぜ脱出が可能となったか、脱出後の戸惑いや周囲との関わり、その後の人生の展開、などなど。

実話に基づきながらも、実際とは異なる脚色もあったかもしれない。

それがフィクションとして作品化するということであり、そこに真実がないとは言えない。

脚色・演出の手腕にすべてがかかっていたと思うが、「ライオン」に関しては、それが成功しているとは思えない。

これなら普通にドキュメンタリー作品として創ればよく、特にフィクションにする必要はなかったのではないか。

勝手な個人的感想ではあるが、期待して観ただけに残念な印象だった。

スポンサーサイト



テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

疲れた休日にオススメしたい映画「彼らが本気で編むときは、」

平日は何とか乗り切るのだが、休日になるとガックリと疲れが出て、ほとんど何もできずに終わることがよくある。

平日の勤勉さと休日のダメダメさの落差が激しい。

――しかしまあ、ダメはダメなりに、映画を1本観たし、本のあふれ返った書棚も少し整理したし、これはこれでよしとしよう。

観たのは、↓こちらの作品。

彼らが本気で編むときは、 [DVD]



美しい物語だった。

「だんこん」(漢字で表記するのは控えさせていただくが)の供養、という発想が卓越していた。

疲れた休日に見るにふさわしい、優しい気持ちを取り戻させてくれるような、温かい作品だった。

深刻な内容も含まれつつ、微笑ましい滑稽味を帯びているところもよかった。

↓ノベライズもされている。



ちょっと読んでみたい気がしている。

テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

映画「花戦さ」感想

1カ月ほど前になるだろうか。
大学時代の友人が勧めてくれた映画花戦さ」を観に行った。
もう上映日が残りわずかで、上映館も都内で2館ほどになり、上映回数も1日1回、しかも私が観に行った日はうち1館が休映だったこともあってか、なかなかの観客の入りだった。
作品の性質上、やはり年配者が多めではあったが、年配者といっても昨今はみな若くて元気で活動的だ。
見ていて勇気が湧く。
願わくは私も生涯現役を貫いて、逝く時は必ずやポックリとサッパリと逝きたいものである。

さて、映画のほうだが、美しく、楽しく、かつ、人生の悲哀や理不尽さから来る切なさ、悔しさなど、さまざまな感情、さまざまな要素が盛り込まれながら、全体として、無理なく楽しめる作品になっていた。
一つ感じたのは、やはり秀吉の晩年は残念だったな、ということ。
晩節を汚す、というのは、きっと、こういうことを言うのだろう。
千利休も、ずいぶん不運だった。
この二人は、出会わないで済めば互いにもっと幸福だったのかもしれない。
でも、出会うべくして出会ったのかもしれないし、ある意味、どうしようもなかったのかもしれない。
その中で、花という形を通して戦いを挑んだ主人公の姿は、蟷螂の斧のようでもありながら、観る者に、少なくとも一種のカタルシスを与えてくれるものではあった。
それによって、何がどうなるものでもなくとも、餞(はなむけ)にはなったろうし、何もできずにただ忸怩たる思いに苛まれるのに比べれば雲泥の差だ。

こういうことがあった時に、自分ならどうするか、例えば千利休の立場にあったら、もっと長いものに巻かれる道を選んで生き延びたのか、あくまで自分を曲げようとしなかったか、また主人公の立場であったら、もっと何かができたのかどうか、そして秀吉の横暴をなぜ誰も止めることができなかったのか、誰が、何が悪かったのか等、いろいろ考えさせられる。
いい映画だった。





テーマ:映画感想 - ジャンル:映画

フリーエリア