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人気漫画家が手の内を明かした『荒木飛呂彦の漫画術』

昨日は、TOEICの試験日だったこともあり、疲れてしまって更新できなかった(しなかった)。

それはさておき、本日、『荒木飛呂彦漫画術』を読了。

ジャンルは何であれ、何らかの作品をつくろうと志す人にとっては読んで損のない一冊。

文章は読みやすく、知的で、しかも具体的。

「キャラクター」「ストーリー」「世界観」「テーマ」、この四つが大事、というのはこと漫画のみにとどまらない。

実はかの有名な『ジョジョの奇妙な冒険』を読んだことがないのだが、少し読んでみたくなった。

特に、漫画家だという岸部露伴の出てくるくだり。

作家の出てくる小説や映画などが好きなのだが、「作家」の中には緩やかに漫画家も含まれる。

しかし、ここまで手の内を明かせるというのは相当な自信の表れだろう。

かつ、漫画という世界への恩返し、および後に続く者への慈愛。

これを読んだからといって皆が人気漫画家になれるわけではないが、でも、ヒントをつかんで自らのものとして生かすことは誰にも可能だ。

私もまたその一人でありたい。



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同じ作品でありながら別の作品でもあるという不思議――小説版『嘘を愛する女』を読んで

今朝(11月17日)、小説『嘘を愛する女』を読み終えた。

実は、小説より先に、映画も観ていた。

映画「嘘を愛する女」は、公開時から気になっていた作品だったが、なかなか観られず、1カ月余り前に、ようやくDVDで観ることができた。

恋人だと思っていた相手が、実は誰だか分からない、素性の知れない人物だったというのは、とても恐ろしく、寂しく、悲しい。

そこにどんな真相が隠されているのかを知りたくて、観た。

どうか嫌な終わり方でないようにと願いながら、半ばそれも覚悟しながら、観た。

観終えて、何というか、……ネタバレになりたくないので多くは語らないが、とても心に残るラストシーンだった。

そして、私はどうやってその存在を知ったのか、もはや思い出せないのだが、この映画の小説版があることを知り、かつ、そのキンドル版が0円であるのを発見して、即、購入した。

映画を観てから小説を読むのは初めてのことだったが、この映画の世界をもう少し味わってみたい、というのがその動機だった。

少しずつ、読んだ。

小説版の醍醐味は、何と言ってもその「素性の知れない人物」の側の心情までが詳細に語られていたことだ。

堪能した。

映画とは設定や展開などで多少異なる点もあり、映画をそのままなぞるのでなく、小説は小説として、同じ作品でありながらまた一つ別の作品ともなっていて、二重に楽しむことができた。

岡部えつ、という名前は聞いたことがあったが、作品を読むのは初めてだった。

失礼を承知で言えば、うまい、と思った。

さすがプロ。

小説家って、すごい。

ほかの作品も、読んでみたくなった。



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瀬尾まいこ『そして、バトンは渡された』を読んで

瀬尾まいこそして、バトンは渡された』を読了。

瀬尾まいこは以前から好きな作家の一人で、すべてではないけれども、わりと多くの作品を読んでいる。
中でも、初めて読んだ『天国はまだ遠く』が印象に残っている。
数多く映画化されている作家の一人だ。

好きな作家といいつつ、作品によっては「どうかな?」と思うものもあったりして、今回も、「どんなもんだろうかな……」と思いながら読み始めたのだったが、非常にみずみずしく、あたたかく、この作家ならではの味わいを堪能できた。

最近、テレビドラマで、「花より男子」の続編に当たるような作品を観ていて、あまり心に響くものを感じず、自分も感性がかなり鈍っているのかな、と残念に感じていたのだが、この小説を読んでいて、しっかり高校生の主人公に感情移入できたので、少しほっとした。
ある男子生徒に対して、ときめきを感じたり、一緒にいたいと思ったりする、その感覚をリアルに共有できたので、「おお、そこまで枯れてはいなかった」と(笑)、自己確認できた次第。

それは余談だが、複雑な生い立ちで、結果的に父親を3人も持つことになった主人公の、ものすごく愛された、ものすごく幸せな日々を描いた、そう、本当にこの作家でないと書けなかった作品だと思う。

主人公と周りの人々との軽妙なやり取りはコミカルで、それを追っていくだけでも楽しい。

オススメしたい作品。





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原田マハ『スイート・ホーム』を読んで

原田マハの作品を、恥ずかしながら初めて読んだ。
書店の店頭で手に取って、どうしても読みたい!と思って。
夜、寝る前に少しずつ、大切に、楽しみながら。

手に取った時に予想した通り、素晴らしかった。
否、予想した以上に。

悪人が一人も出てこない。
あったかい、あったかい人たち。
あったかい、物語。

こういう小説こそが書かれるべきだ、と思う。
オススメ。



内容紹介

幸せのレシピ。
隠し味は、誰かを大切に想う気持ち――。
うつくしい高台の街にある小さな洋菓子店で繰り広げられる、
愛に満ちた家族の物語。

香田陽皆(こうだ・ひな)は、雑貨店に勤める引っ込み思案な二十八歳。
地元で愛される小さな洋菓子店「スイート・ホーム」を営む、腕利きだけれど不器用なパティシエの父、
明るい「看板娘」の母、華やかで積極的な性格の妹との四人暮らしだ。
ある男性に恋心を抱いている陽皆だが、なかなか想いを告げられず……。(「スイート・ホーム」)
料理研究家の未来と年下のスイーツ男子・辰野との切ない恋の行方(「あしたのレシピ」)、
香田一家といっしょに暮らしはじめた〝いっこおばちゃん〟が見舞われた思いがけない出来事(「希望のギフト」)など、
稀代のストーリーテラーが紡ぎあげる心温まる連作短編集

どんなに疲れて帰ってきても、仕事でうまくいかないことがあっても、
ここまで来れば、もう大丈夫。駅からバスに乗って、ふたつ目のバス停で
下りて、色づき始めた街路樹を眺めながら、甘い香りのする場所へと向かう。
そこでは、おいしいスイーツと、なごやかなパティシエ一家が、
私の到着を待っていてくれる。(本文より)
さりげない日常の中に潜む幸せを掬い上げた、心温まる連作短篇集。


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中島京子『ゴースト』に見る、「霊」的な題材を描くということ

夜寝る前に少しずつ読み進めて、ようやく昨夜、読了した。



中島京子は好きな作家の一人で、ほかにはもちろん『小さいおうち』、それに『長いお別れ』なども好きな作品だ。

今回読んだ『ゴースト』は、その名のとおり「」的なものを題材とした短編集なのだが、個人的には、何というか、気に入った作品と、そうでもないものとの落差がやや激しかったような気もする。

受け取り方は人それぞれかもしれない。

特に気に入ったのは「廃墟」という一編。

台湾にも行ってみたくなったし、そんな廃墟を訪ねてもみたい気にもなった。

それにつけても、「」的な題材を描くというのは難しいものなのだろうとも感じた。

眼にも見えず、聞こえもしないものを、いかに説得力を持って表現するかというのは、作家としては腕の見せ所でもあるのだろう。

作家が、楽しみながら書いているような感触もあった。

自分なら、「」を題材にしたら、何をどう描くだろう。

興味深いテーマではある。





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